第16回舞台美術研究会のご紹介(平成22年1月27日)

2010 年 2 月 1 日

日時:2010年1月27日(水)19:00−20:30
場所:早稲田大学6号館 3階 レクチャールーム
出席者:伊藤、多田、磯沼、梅山、岡田、房園、小石(敬称略、順不同)
テーマ:新派の舞台美術と伊藤熹朔(発表・多田忠弘)

1)新派の舞台
旧劇(歌舞伎)の女形芸を引き継ぎながら、近代演劇筋の統一を進めた演劇改良運動から生まれた演劇形式であるが、初期装置の資料の裏付けは今後の課題。

2)歌舞伎大道具の定型的様式(定式道具)に則しながら、近代劇的自然主義を導入した。ちなみに、伊藤熹朔は1927年頃(昭和2)から新派及び新作歌舞伎の舞台美術を担当。
(大正中期に田中良、昭和前期には小村雪岱等が関わっている)

3)築地小劇場時代の反自然主義敵舞台美術の創案者・村山知義。吉田謙吉らの作品と伊藤熹朔の作品を比較する時、生い立ち及び大正期の文化的背景と重ねて検討したい。

4)次回以降の検討要目として、多田氏から数項の提議があった。
ネットワークの美学、俳諧に置ける「連」のシステム等日本建築の空間美学等の視点から、日本近代舞台美術の様式と継承を考えることができるのではないか、との提言など。

 

次回研究会は、2月22日(月)に行います。
時間:14:00〜
場所:武蔵野美術大学 新宿サテライト(新宿センタービル9階 )
http://cc.musabi.ac.jp/access/access.html
テーマ 「新派」の舞台美術ーその2

*3月の予定は、早稲田演劇博物館 竹本館長と伊藤理事長の調整によって提案されることとなった。

第15回舞台美術研究会のご紹介(平成22年1月18日)

2010 年 1 月 19 日

日時:2010年1月18日(月)14:00−17:00
場所:武蔵野美術大学 新宿サテライト(新宿センタービル9階 )
出席者:伊藤理事長、多田、斉藤、磯沼、房園、花谷、小石、小田切(敬称略、順不同)
テーマ:築地小劇場時代の舞台美術。
築地小劇場以外の舞台で活躍された田中良、小林雪袋の作品と、伊藤熹朔の作品の併列的考察

1)大正10年(1921)の「息子」の舞台装置(田中良)と伊藤熹朔の「息子」(1962)の装置を比較してみた。
田中作品は、黒バックに火の番小屋のみ。
伊藤作品は、背景に家並がある。
1921年と1962年上演という時代の違い。
伊藤作品の歌舞伎座上演という条件の違いを越えて、表現の多様性を論じ合う。

2)昭和9年(1934)の「夜明け前」のリアリズム装置に関して、ドラマと原作の解釈の違い、舞台転換の手法などを論じ合うとともに、TVセットや舞台材構と美術の関係も考察。

3)1930年代のアメリカ演劇の自然主義舞台と時代的な符号もある。
アメリカ演劇の推移と日本の近代劇の推移の重なり合うところも研究課題となる可能性あり……等々、多角的な検討を重ねたいと考える。
次回研究会は、1月27日(水)に行います。
時間:19:00〜
場所:早稲田大学6号館 3階 レクチャールーム
http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html
テーマ 「新派」を中心に、情景表現の役割について
*開催時間にご注意下さい。

第14回舞台美術研究会のご紹介

2009 年 12 月 24 日

PAN-J 舞台美術研究会の概要をご報告および次回のご案内をお知らせいたします。

[20091207舞台美術研究会]
12月23日(水、祝日)
時間:16:30〜18:30
場所:早稲田大学6号館 3階 レクチャールーム(318教室)

参加者:伊藤(洋)、竹本、多田、近藤、磯谷、岡田(株)万永、梅山(演博)

(順不同、敬称略)

 

本年度最終の研究会

テーマ:伊藤熹朔の学んだ明治・大正

1876年(明治9年) 工部美術学校開設以来
1925年(大正14年) 伊藤熹朔の築地小劇場デビューまで、約50年を近代舞台美術の黎明期
としてとらえ、舞台美術に関連する画家、絵画的出来事を大雑把にまとめて議論を斗わせた。

・19世紀末の舞台背景画を学んだ山本芳翠と明治油絵の写実主義 1878年〜1903年頃

・ 小山内薫の自然主義演劇移入、1909年頃

 1910年「白樺」創刊による印象派絵画の紹介

 土方与志の舞台装置研究 1919年頃

・ 築地小劇場の設立以後、1924年

等のエポックについて議論した。

 

 

次回以降の研究会の予定

2010年1月18日(月)
時間:14:00
場所:武蔵野美術大学 新宿サテライト(新宿センタービル9階 )
http://cc.musabi.ac.jp/access/access.html

テーマ:築地小劇場時代の舞台美術(予定)
2010年1月27日(水)
時間:18:00
場所:早稲田大学6号館 3階 レクチャールーム
http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html

テーマ:新派劇における舞台美術(予定)

 

 

<事務局からのお願い>
ペタアートネットジャパンの研究会では、研究テーマに関連しました皆様からの自由なご発言、ご意見、また研究発表等を行うことができます。どうぞ事務局まで事前にお申し出ください。
PAN-J会員及び多くの参加者の方と、有意義な研究を続けていきたいと念願しております。どうぞ参加者動員にご協力ください。
事務局
多田忠弘
連絡・お問い合わせ
メールアドレス wmpws252@ybb.ne.jp

第13回舞台美術研究会のご紹介

2009 年 12 月 8 日

20091207舞台美術研究会]
日時:2009年12月7日(月)
場所:武蔵野美術大学 新宿サテライト
参加者:伊藤(洋)、斉藤、多田、小石、途中から岡田(株)万永 (敬称略)
検討項目

1)演劇博物館展示に向けて

1.舞台美術という一部門を通して、演劇の表象性を伝える工夫が必要
2.舞台装置図、平面図、書き抜き等の資料を補完する写真や事物の扱いを考える
2)伊藤熹朔作品の展示で伝えたい事柄
1.伊藤熹朔における西洋絵画の受容と日本的表現手法
2.西欧風の舞台美術手法の受容と日本の伝統的手法の関係
3.舞台美術の絵画的分析と演出的分析

4.
西欧演劇の特質と日本の伝統劇の特質、例えば、ファミリーを描くことの多い西洋と社会や因習の中にもがく個人を描く日本のドラマの舞台空間への反映、等々、次回へ継続
<事務局からのお願い>
ペタアートネットジャパンの研究会では、研究テーマに関連しました皆様からの自由なご発言、ご意見、また研究発表等を行うことができます。どうぞ事務局まで事前にお申し出ください。
PAN-J会員及び多くの参加者の方と、有意義な研究を続けていきたいと念願しております。どうぞ参加者動員にご協力ください。
事務局
多田忠弘
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第12回舞台美術研究会のご紹介

2009 年 12 月 3 日

[20091116舞台美術研究会]
日時:2009年11月16日(月)14:00−17:00
場所:早稲田大学6号館 レクチャールーム
竹本館長に、今までの研究会の経過報告を兼ねて、伊藤熹朔作品の解析状況を説明。
併せて、今後の研究会のすすめ方を検討。
月に一回は、早稲田大学で行う方向を確認。

1)日本のリアリズム舞台の代表作品として
「息子」「夜明け前」の舞台を支えた美意識、技法など

2)「夕鶴」を中心とした象徴主義的な日本の表現意識について
源流にある能舞台の在り方などに触れていく

3)「夕鶴」のオペラ装置「お蝶夫人」「タンホイザー」など音楽劇作品の変容に関しても今後の課題として考えていく。
それが、ミュージカル作品の舞台、西欧翻訳劇の舞台の様相にも及ぶ。

4)更に、「女の一生」の来年度再演を期に、日本建築二間取りと舞台芸術における空間的演出の在り方などもテーマとなる。
次回研究会は、12月7日(月)に行います。
時間:14:00−17:00
場所:武蔵野美術大学 新宿サテライト(新宿センタービル9階 )
http://cc.musabi.ac.jp/access/access.html
テーマ 「女の一生」の舞台美術
ー舞台空間と日本家屋の空間ー

次々回研究会は、12月23日(水 祝日)に行います。
(祭日ですが、演劇博物館開館につき開催いたします。)
時間:16:30−18:30
場所:早稲田大学6号館 3階 レクチャールーム(318教室)
http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html
テーマ 初期伊藤熹朔作品
ー翻訳劇の舞台美術の導入ー

講師:小石新八氏(武蔵野美術大学名誉教授)

第11回舞台美術研究会の概要をご紹介

2009 年 12 月 3 日

先日行われました第七回舞台美術研究会の概要をご報告いたします。

[20091102舞台美術研究会]
日時:2009年11月2日(月)14:00−17:00
場所:武蔵野美術大学 新宿サテライト

1)14:00−15:00
伊藤熹朔映像の台本相談
舞台芸術家伊藤熹朔の人と作品の映像化の可能性について検討

2)15:00−17:00
早稲田大学演劇博物館における伊藤熹朔作品展の計画変更について
2010年開催予定を2011年春期に移動する計画について話し合い、基本的に了承。
今後の研究会の進め方も再検討、
演劇における表象とかたちを中心に研究会を拡大していきたい、と結論。
次回研究会は、11月16日(月)に行います。
##場所と時間の変更をお知らせします##
場所:早稲田大学6号館318教室(レクチャールーム)
時間:18:00
テーマ 近代日本の舞台美術の受容と伊藤熹朔
(竹本幹夫館長参加予定)
<事務局からのお願い>
ペタアートネットジャパンの研究会では、研究テーマに関連しました皆様からの自由なご発言、ご意見、また研究発表等を行うことができます。どうぞ事務局まで事前にお申し出ください。
PAN-J会員及び多くの参加者の方と、有意義な研究を続けていきたいと念願しております。どうぞ参加者動員にご協力ください。
事務局
多田忠弘
連絡・お問い合わせ
メールアドレス wmpws252@ybb.ne.jp

今年度12月までの研究会予定が決まりました

2009 年 8 月 25 日

今年度12月までの日時が決定いたしましたのでお伝え致します。

講師:小石新八(武蔵野美術大学名誉教授/NPO法人PAN-J常務理事/舞台美術家)
場所:武蔵野美術大学 新宿サテライト
時間:14:00−17:00
2009年度12月までの決定日
: 8月29日(土)
9月 5日(土)・ 9月19日(土)
10月 5日(月)・10月19日(月)
11月 2日(月)・11月16日(月)
12月12日(土)・12月26日(土)

皆様お忙しいことと存じますが、ご都合の良い日がございましたら、是非ご参加下さい。
<事務局からのお願い>
ペタアートネットジャパンの研究会では、研究テーマに関連しました皆様からの自由なご発言、ご意見、また研究発表等を行うことができます。どうぞ事務局まで事前にお申し出ください。
また、2010年、演劇博物館での伊藤熹朔舞台美術展の成功に向けて、PAN-J会員及び多くの参加者の方と、有意義な研究を続けていきたいと念願しております。どうぞ参加者動員にご協力ください。
事務局
多田忠弘
連絡・お問い合わせ
メールアドレス wmpws252@ybb.ne.jp

第十回舞台美術研究会内容のご紹介

2009 年 8 月 25 日

[第10回舞台美術研究会]
日時:2009年8月1日(土)14:00−17:00
講師:小石新八(武蔵野美術大学名誉教授/NPO法人PAN-J常務理事/舞台美家)
場所:武蔵野美術大学 新宿サテライト
参加者:5名

■伊藤熹朔作品展の企画打合せ
『表象とかたち』−舞台美術’昭和’の軌跡
早稲田大学演劇博物館館長宛に企画書として正式提案するための文書相談及びJVA(日本映像美術協議会)への協賛依頼書の検討
展示構成の検討(案)
第一室 昭和への導入〈伊藤熹朔の受容期として〉
1. 明治、大正期の絵画:浅井忠、高橋由一、岡田三郎助等
2. オペラ「オルフェウス」の舞台ー西欧風背景
3. 明治期の歌舞伎舞台「桐一葉」「後藤又兵衛」等
4. 島村抱月
5. 小山内薫、土方与志関連資料
6. 小山内薫のロシア演劇絵はがき(慶応大学所蔵)
7. 1900-1920年代の西欧演劇資料
8. 田中良、溝口三郎、村山知義、吉田謙吉らの舞台装置資料
第二室
1. 西欧演劇の受容
伊藤熹朔の翻訳劇の舞台装置展示。
1925-1935年頃の作品を中心に西欧の舞台装置の移入期の作品群
2. 日本的リアリズム確立への系譜
「役の行者」「大寺学校」
「夜明け前」「明治一代女」
「女の一生」「婦系図」「太夫さん」から
「放浪記」に至る写実装置
3. 形象性を重視した様式の確立
「リリオム」から「三和尚」・・・・・・「鶉」「いたち」
「火山灰地」を経て「夕鶴」
「女の一生」「婦系図」「太夫さん」から
「放浪記」に至る写実装置
4. 和と洋の融合した抒情的形象性
最晩年の「風と共に去りぬ」に至る、オペラ、ミュージカルの作品群
5. 2010年に再演が予定される「女の一生」「放浪記」の関連資料、衣装、小道具の展示
6. 同時代の装置家の作品
第三室 日本的リアリズムの成果(未定)
「夜明け前」を起点として、日本の風土、地域性を再生した装置手法と映画、TVセットの類型、装置手法の解析
1. 伊藤熹朔作品のアーカイブへのアクセス
2. 舞台装置の画像的分析
3. CG等によるグラフィカルな展示
4. 昭和の同時代の舞台装置の多様性(同時代作家の作品展示も検討)

第九回舞台美術研究会内容のご紹介

2009 年 8 月 25 日

[第九回舞台美術研究会]
日時:2009年7月18日(土)14:00−17:00
講師:小石新八(武蔵野美術大学名誉教授/NPO法人PAN-J常務理事/舞台美術家)
場所:武蔵野美術大学 新宿サテライト

1. 展覧会展示のための作品選定を進めるため、展覧会の骨子を検討
展示全体の構造として、
1)西欧演劇と舞台美術の受容
2)日本の伝統的舞台美術の発展、日本的リアリズムの完成
という二本の流れが、伊藤熹朔作品の中で具現化されている、
というコンセプトを建てました。
A.昭和に至る舞台美術の流れ
伊藤熹朔前史を示す作品、作例
○明治末の帝劇設立、その前後の西欧演劇の移入
・山本芳翠、岡田三郎助等の絵画
舞台背景画ーオルフォイス等の写真
・小山内薫とロシア演劇ー絵はがき
・1900-1920年代の西欧演劇、オペラ座、マイニンゲン一座等、
自由劇場
B.伊藤熹朔作品を通して、西欧演劇の受容をみせる。
○初期築地のシェークスピア、リリオム、どん底等のバリエーション
○前進座ー新協劇団等に至る多彩な日本主題の新劇群
日本的リアリズムの確立
○新派を中心とする商業演劇の舞台装置の手法、転換術。
○日本的リアリズム装置の次世代への移入
ー映画美術から戦後のTV美術への流れへ
C伊藤熹朔作品と映像美術
○映画美術の手法と商業演劇の美術の手法が、TVドラマの源流となったと考えられる。
○伊藤熹朔作品から、現代のドラマセットの原点を探ってみる。

〈作例検討〉
日本的リアリズムの頂点として
「夜明け前」「土」等〜「太夫さん」「女の一生」「放浪記」
象徴主義的作例として、
「ジュリアスシーザー」→「遁走記」→「夕鶴」
抒情的作例として、
「春琴抄」「雨月物語」等多数
叙事的作例
「火山灰地」「大仏開眼」他

研究会 9回、10回のお知らせ

2009 年 7 月 7 日

最新研究会予定のお知らせです。

第9回舞台美術研究会 2009年7月18日(土)
第10回舞台美術研究会 2009年8月 1日(土)
いずれも14時〜17時、於武蔵野美術大学 新宿サテライト(新宿西口、新宿センタービル9階)
講師:小石新八(武蔵野美術大学名誉教授/NPO法人PAN-J常務理事/舞台美術家)
伊藤熹朔の舞台装置の特徴・真価をどこに求めるか、どんな特徴を展示のためのテーマにするか、を各種の文学作品を取り上げながらいま検討しています。いろいろな観点から調査していきたいので、ぜひ会員皆様のご参加、ご意見をお待ちしています。

理事長 伊藤 洋


第八回舞台美術研究会内容のご紹介

2009 年 7 月 7 日

日時:2009年6月29日(金)14:00−17:00
講師:小石新八(武蔵野美術大学名誉教授/NPO法人PAN-J常務理事/舞台美術家)
場所:武蔵野美術大学 新宿サテライト

■研究、討議
早稲田大学演劇博物館展示にむけて
伊藤熹朔作品の選定と構成の検討
多田氏の保管している作品リスト、原画コピーによって、展示作品の絞り込みを検討した。

1. 現代もなお上演されている「放浪記」などは、生命の長い作品として、中核的な展示物となる。
2. 民芸、文化座などで近年上演した作品もピックアップし、関連資料を添えて演出の変化なども見せることができるのではないか。
3.作品数の多い新派の舞台美術を如何に解題してみせるか。
(以上、伊藤洋先生提議)
4. 築地小劇場から、伊藤熹朔没後まで 10年単位で4期くらいに区切ることができる。(小石新八先生提議)
第一期 1925- 1935—築地とその以前
第二期 1936- 1945—昭和と軍国時代
第三期 1946- 1955—戦後再生期
第四期 1956- 1965—最盛期
第五期 1965以降 —晩年と継承
5. 大まかなジャンル分類で作品の視覚的な多様性を中心に編成した方が、展示企画として有用と思われる。
・新派、歌舞伎
・新劇、創作物
翻訳物
・歌劇、ミュージカル
・その他
6. 今後、原画と補完的資料の構成を具体的に詰めて行く予定。

第七回舞台美術研究会内容のご紹介

2009 年 7 月 7 日

日時:2009年6月1日(金)14:00−17:00
講師:小石新八(武蔵野美術大学名誉教授/NPO法人PAN-J常務理事/舞台美術家)
場所:武蔵野美術大学 新宿サテライト

1. 新派劇と新劇の舞台の類似性
「明治一代女」(新派)と「女の一生」(新劇)は日本家屋をモチーフにしているので、建築的構造が類似している。舞台の横長の間口に則して、形式的類似性が見られる。
並列的に横に展開する日本の舞台と奥行きを見せる西洋の舞台の差は、人間関係の描き方のではないか。(斉藤偕子氏)
二人称的関係と三人称的関係の差。
対話的会話と三者鼎立型会話の差。
ドラマの演出理念の差でもある。

2.舞台の左右−カミテ、シモテの暗黙の差異の根拠は?
西欧中世の並列舞台では、左に天国、右に地獄がある。
日本では、左(シモテ)に橋掛り……花道……
近世フランスでは、左・ジャルダン(庭側)右・クール(中庭)という呼び方をした。
現代では失われつつある呼称。(伊藤洋氏)

3.伊藤熹朔作品に見られる風景的構成には、象徴的意味が込められていると言える。
例えば「川」あるいは「水辺」の扱い方に、更には「橋」などに記号性を読み解く必要あり。(多田忠弘氏)

4.西洋のドラマやオペラの日本初演では、オリジナリティより、移植型の再現的舞台が多くなる

第六回舞台美術研究会内容のご紹介

2009 年 7 月 7 日

日時:2009年5月18日(金)14:00−17:00
講師:小石新八(武蔵野美術大学名誉教授/NPO法人PAN-J常務理事/舞台美術家)
場所:武蔵野美術大学 新宿サテライト

1. 長塚節 原作 伊藤貞助 脚色 「土」
・脚本と場面の照合にあたり、第4幕の舞台面の資料が不足、検証進まず。
しかしながら、「夜明け前」と同様に日本的な写実的装置の典型と考えられる。
背景にホリゾントが活用されているが、分析中。

2.モルナール の「リリオム」
1927年の築地小劇場と33年の築地座の舞台写真で2場面が比較できる。
27年の方にホリゾントの活用が見られ、舞台造形には、ドイツ表現主義的な影響が強い。33年の舞台は、場面の様式的統一感があり、伊藤熹朔の様式的単純化の原点が見える。

その顕著な事例として、武者小路実篤「その妹」の舞台装置は、様式化単純化のある頂点を示している。舞台の狭隘さが生み出した様式性とも言えるが……

3.新派の舞台ー膨大な数の中から、何を取り上げたら良いか、意見交換。
川口松太郎
作「明治一代女」を取り上げてみると、除幕の柳橋と水辺、二幕の楽屋、田舎の柱、梁太の場面、三幕の黒塀と路地、等に典型的な新派の場面構成が見られる。(多田忠弘氏)
西欧的合理主義を採用して、日本的な舞台の合理性を追求した原点のひとつとして取り上げてみたい。
・ 関西圏の空間を扱った「 太夫さん 」と比較しながら解析した方がよいと思われる。そこから、日本の舞台に置ける常式寸法の効果なども読み取れる。

その他、演劇博物館における展示構成の在り方について、慶応大学所蔵の小山内薫の滞欧時の収集絵はがきに、ロシアの写実主義の舞台面が散見される。初期の築地の舞台と参照してみる必要があると思われる。(伊藤洋
氏)

第五回舞台美術研究会内容のご紹介

2009 年 7 月 7 日

日時:2009年5月8日(金)14:00−17:00
講師:小石新八(武蔵野美術大学名誉教授/NPO法人PAN-J常務理事/舞台美術家)
場所:武蔵野美術大学 新宿サテライト

伊藤熹朔作品のうち「夜明け前」を中心に
1. まず、試案として、小山内薫「息子」の舞台装置と歌川広重の雪景色の半が「蒲原夜之雪」を並列して雪の夜の静けさの表象を対比してみた。
・空間モデルとしては、中央の小屋のブロックと背景の低層の屋根のみ
2.島崎藤村原作の「夜明け前」は、大別三ブロックの空間モデルとなるが、ドラマの世界は、正面奥の街道筋(石垣と杉)。左右の舞台裏で複線とな時代の推移の暗示(音響や事件、行列の片鱗)が大きな役割を持つ。(見えない世界を想像させる効果)
舞台空間の形体的変化は、ほとんどなく、季節感や時代の変化を示す小道具類の役割を推測するしかない。
3.伊藤洋先生の提言1:
築地小劇場時代の資料として、小山内薫の遺品にモスクワで集めた絵はがきがある、慶応大学所蔵のはずだから調べてみてはどうか。(築地小劇場時代のロシア演劇の源流を探る)
4. 伊藤洋先生の提言2:
研究資料となる脚本、舞台装置図、舞台写真、模型等を絞り込んで、いくつかの作品を集中的に解析してみるのはどうか。
・ 写実的装置「夜明け前」「土」など
・ 写実的単純化装置「釣り堀にて」「息子」など
・ 単純化様式装置「その妹」「夕鶴」など
・ 伝統的写実装置(仮称)
・ 常式寸法、描割の応用 新派の舞台「明治一代女」など

第四回舞台美術研究会内容のご紹介

2009 年 7 月 7 日

日時:2009年4月24日(金)14:00−17:00
講師:小石新八(武蔵野美術大学名誉教授/NPO法人PAN-J常務理事/舞台美術家)
場所:武蔵野美術大学 新宿サテライト

1.伊藤洋氏が「夜明け前」「息子」「釣堀にて」3作品の脚本確<上演台本他>を持参。ドラマ展開の中軸資料としての可能性検討
A. 「夜明け前:一杯の舞台(一つの場面)だけで、装置の奥と前、
前面の三空間<下手三帳と庭><中央いろりの間><上手土間と街道筋>の使い分けを解析したらどうか。
B.「息子」:親爺と息子のやり取りが、背景の左右の表現とリンクしていく。装置の展開の造形演出の効果。
C.「釣堀にて」:一場から二場そして三場への転換。二場の設定が脚本と異なる造形演出の狙いは<食堂の一隅>を<屋形船の座敷>に変えた
会話主体のドラマの空間的展開は(?)

2.江戸時代の山水画の構法が舞台装置図(道具帳)の表現手法に応用されている事例などを通して舞台装置図の源流を考える方法も検討したい。

・**曽我蕭白「灯篭図屏風」の石目の表現
・**蕪村や大雅の水墨画の樹木の表現
・**明堂宗宣の樹木表現
・**浅井忠や高橋由一の油絵と「夜明け前」の装置図の描法の類似性
・大和絵などに見られる家屋の表現
・小田野直武の風景画など、
司馬江漢

3.フランス古典劇(伊藤洋氏他)やアメリカ演劇(斉藤氏他)等に源流を探る解析も検討すべき。(今後の課題)

第三回舞台美術研究会内容のご紹介

2009 年 7 月 7 日

日時:2009年4月10日(金)14:00−17:00
講師:小石新八(武蔵野美術大学名誉教授/NPO法人PAN-J常務理事/舞台美術家)
場所:武蔵野美術大学 新宿サテライト

1.アーニー・パイル劇場(東京宝塚劇場)の記録
斎藤 憐著『幻の劇場 アーニー・パイル』(新潮社)に記されている演目と年代について
1945年12月〜1955年1月まで米軍管理下に公演された作品の確認(日本人観客なし)

2.伊藤熹朔作品の図像的分析 
  A. 並列的場面構成 
  歌舞伎大道具の美学⇒三場面同存型
    「夜明け前」1934、「息子」(1962)、   「マイ・フェア・レディ」(1965?)、「リリオム」(1927)、    「太夫さん」(1955)、「タンホイザー」(1952)、「釣堀にて」(1938)

 B. クローズアップ効果ーフォーカスの移動ー

 「千鳥」(1959)、「大仏開眼」1940

  ドラマの情景が、右から左、あるいは前部から後方などに移行していく 
  C.集中的場面転換 −廻り舞台
  「ウィンザーの陽気な女房たち」1952
   双子廻しを使った場面転換 
   「マイ・フェア・レディ」(1965?)にも使われた 

3.今後の研究テーマの検討
  A. 室内の建造物をモチーフとした舞台と建築的構成の違いを検討してみる
  B. 役者との関係、演出効果と美術設計の関係を再生して考察する
  C. 歴史的な背景を探る。美意識の原点
   日本美術の特質を受容しつつ、現代に再生した歴史的な遡行を試みる
   ・三場面並立 → 歌舞伎の型のひとつ→屏風絵、絵巻物の構図→寺院の三尊像 
    あるいは仏画(来迎図)等まで遡上ることができるかも知れない
  D.西洋の舞台装置に源流を探る
   例「役者の行者」 → オペラ「ワルキューレ」の古典的装置に通ずる
     新劇におけるイプセン、シェークスピア、アメリカ演劇の初演舞台の源流を探る

以上、

次回の研究会は、下記の通り行います。
第四回舞台美術研究会
日時:2009年4月24日(金)14:00−17:00
講師:小石新八(武蔵野美術大学名誉教授/NPO法人PAN-J常務理事/舞台美術家)
場所:武蔵野美術大学 新宿サテライト

第二回舞台美術研究会内容のご紹介

2009 年 7 月 7 日

日時:2009年3月27日(金)14:00−17:00
講師:小石新八(武蔵野美術大学名誉教授/NPO法人PAN-J常務理事/舞台美術家)
場所:武蔵野美術大学 新宿サテライト

1.伊藤熹朔の作品分析
  A. 横長の舞台フレームの活用、三場同存型構成について
  「千鳥」の三場同存と、歌舞伎「鳴神」の類似性ー伝統空間の現代化
  B.「息子」「夜明け前」「釣堀」等に見られる構図性
  C.「ウィンザーの陽気な女房たち」と「マイフェアレディ」における双子廻しによる舞台転換
  (舞台装置の定式道具、定式寸法の概念と近代舞台装置の構造の関係性等,今後も継続的に検討していく。)

2.早稲田大学演劇博物館への展示企画提案の検討
  ・伊藤熹朔作品を中心に、昭和の舞台美術を辿る知的な旅を具体化したい。
   例、第一室 築地小劇場に至るまで、伊藤熹朔の学んだ時代
     第二室 昭和前〜後期にかけて、
         劇作者の世界を視覚化した表象として舞台美術を読み解く
         戦後社会における展開
     第三室 未来に受け継がれていくもの、等